『追加・考慮すべき要素』(三浦信義)
別居・離婚を考える上で下記の事柄を良く考慮して下さい。
[] 日本と異なり、この国では離婚に際しては親権(custody)はまず自動的に父母同権(joint custody)が基本です。相手が親権を放棄しない限り、または相手が精神異常であったり、暴力的であったり、刑務所に入っていない限り、裁判所で議論することなしにあなたが単独親権(sole custody)を取ることは難しいと考えて良いと思います。子供が母親と住んでいても、それは保護者(guardianship)であって、単独親権を持っていることにはなりません。子供が未成年でなくなるまで、子供の将来を左右する決定(教育、宗教、健康など)は相手との話し合い・合意が必要です。相手が子供への興味を失わない限り、通常相手との関係はずっと続くと考えて下さい。
[] 上記の父母同権の場合、相手の書類の上での合意(consent)がないと子供を連れて日本へは行けません。別居・離婚の過程が長引き、かつ相手が合意しない場合、何年も子供と一緒には日本へ行けない事を覚悟する必要があります。あるいは子供が未成年でなくなるまであなたと一緒には日本へ行けない可能性もあります。別居して子供を連れて日本の実家へ行けば良い、と考えていたら再考して下さい。
[] もし仮に相手に黙って了承なしに子供を連れて日本へ帰り、相手が子供の帰国を要求し、あなたがそれに従わなかった場合は、あなたはカナダの法律で誘拐の罪に問われます。2010年以降はカナダとの協定が成立し、日本の法律もそういう場合に適用されることになります。
[] 日本では離婚に際しては慰謝料を取ることが大きな争点になっているようです。この国には慰謝料という考えはありません。通常は喧嘩両成敗(no fault)です。(精神的苦痛などを受けた場合でも裁判が必要。今までの例では特殊な場合以外は認められていない)。慰謝料で一時的に生計を立てようという考えは成り立ちません。子供を抱えたあなたの生活が今までの生活から期待されたレベルよりも下がる場合は、相手からあなたへのサポートを要求出来ます。その為にはお互いの生活状況・財政状況を提出し比べる必要があります。どちらかの生活状況が変わった場合(再婚など)にもこれは見直しが行われます。サポートが存在する限り相手との関係は延々と続くと考えて下さい。
[] 相手は子供に定期的に会う権利があります(親権がない場合でも)。これらの期間・方法は話し合い、別居合意書(separation agreement)に書き込むことになります。
[] あなたが子供を抱えて十分に生活して行ける環境・状況にあるか。これはあなたにとっても子供にとっても重要な要素です。貧困に陥り、あなたも子供も精神的に疲労困ぱいしてしまうことは避けたいです。しかしながらいろいろな理由(家庭内暴力など)で一緒に住むことが不可能な場合は各種援助組織などの助けを受けて下さい。
以下は、いろいろ話し合い、元に戻る努力をし、解決策を模索し、それでも別居・離婚をせざるを得ない、という状況になった時の、法律から離れた三浦個人のアドバイスのいくつかです。
[] 恥ずかしいことと考えないこと。あなたが大変な時はいろいろな人から助けてもらいましょう。遠慮している時ではありません。カナダでは別居・離婚・single parentは何も恥ずかしいことではありません。悩み、話し合って努力した後の結論であれば、日本的に考えず、はっきりと宣言し、堂々と行動しましょう。助けてくれた人には、いつの日か、それを返すことが出来ます。それは、助けてくれた人達に対してかもしれないし、あなたが助けてもらったように同じ境遇にある人達を助けることであるかも知れません。
[] この時期、精神的なアップ・ダウンが起こります。動揺します。人生の上で大きな予期せぬ出来事である訳ですから、それは当然のことです。そういう時は友達などの力を借りてしっかり前向きに歩んで下さい。かならず良い結果になります。別居中やsingle parentになってからも、FTFの友達やグループと一緒に時間を過ごしているFTF会員を知っています。それは大きな助けになるはずです。
[] 信用出来る友達などに時々悩みや問題を話しましょう。気持ちが楽になります。第3者の考えが参考になります。さらに人に話すことによって、自分の心の中の整理がついたり、自分なりの方向性や決心がついたりします。ここで気を付けなくてはならないことがあります。他人に寄りかかって頼ってはいけない、と言うことです。どんなにあなたの為に一生懸命考えてくれる人あっても、他人は他人、最終的にはあなたがしっかりしていなくてはなりません。他人を頼り過ぎると後で大きく落ち込む危険があります。
[] 子供には出来るだけ快適な生活を提供することが重要です。子供は自分が理解出来ないことだけに、どうしようもない不安を感じます。注意していないと自分が原因だ、と考えます。子供の前ではあなたは自信をもって行動することが大事です。ここで多くの会員が別居・離婚を躊躇します。しばらく我慢し、仕事を探し十分やっていける状況を作ってから別居した人もいます。何が今一番のpriorityかしっかり判断することが大事と思います。
[] 誰も最初はとても苦労しています。悩みます。でもいつか振り返って、良かった、と思えるよう精一杯考え、自分が正しいと思う道を歩んで下さい。そしてそれを乗り越えた時、あなたがひとまわり大きな人間になっていること、保証します。それはボクが、良い友達と良いcaretakerと理解のある職場の助けで、single fatherとして男の子を6歳から10年間、立派に育てた経験から来ています。